生命保険の本質がわかる 〜「金融機関と財務と生保」の関わりをわかりやすく解説するコラム (1)〜
生命保険は「金融商品」で、生保プランナーは「金融マン」です。このコラムでは、生保プランナーとしてどう振る舞うべきなのか、本質的な所を言及していきます。
もくじ
まえがき
本コラムでは、金融機関(銀行・保険会社)・中小企業の財務・生命保険 の関連性をお伝えします。
「財務を制する者は法人保険を制す!」「決算書は魔法の書!」をテーマに掲げ、順を追って解説していきます。
その為に、まず「言葉の定義付け」から考えてみましょう。
「生命保険とは何か?」 まずはここから始めてみます。
生命保険とは何か?
この問いかけを多くのプランナーさんにしてきました。「保障です」の答えが多かったように記憶しています。
確かに間違っていないのですが、定義付けなのでまず大分類として、生命保険は「金融商品」です。
銀行の定期預金や定期積立や投資信託と同じです。
そして金融商品を扱うのが金融マンです。よって我々は、保険屋さんではなく金融マンです。
金融商品の「機能」のことを、定期預金の場合は「利息」、投資信託では「運用益」、生命保険では「保障」と言います。これらの目的は、機関投資家である金融機関(保険会社)に市場から資金を調達することで、その為の調達商品が金融商品なのです。
つまり「生命保険とは、保障という機能を持った金融商品であり、機関投資家である金融機関(保険会社)が商品を開発し、市場から資金を調達する手段である」といえます。
面白いのが、保険業界では、「保険を売る、もしくは販売する」と言いますが、銀行では「定期預金を売る」とは言いません。定期預金として「お預かりする」となります。また、定期積金は「契約して頂く」になります。…と考えると、生命保険も「契約して頂く」が金融マンとしての適切な言い回しのように思えます。
代理店とは何か?
では「代理店とは何か?」を考えてみましょう。これも、質問してみると「お客を守る」という返事が多いです。これは代理店の「役目」ですね。機関投資家から見た代理店は、「市場からの資金の調達係り」です。
代理店の定義は「保障という機能を持った金融商品をお客様に契約して頂くことでお客を守る。そして、市場から資金を調達して、機関投資家である保険会社から受け取る調達手数料を収益として生業する会社」となります。
そうすると資金調達係りの優劣は、市場からの「資金の調達の量」になります。ということは「安い保険料の商品を進めるよりも、高い保険料の商品を勧めるほうが効率的である」といえるでしょう。
…と言い切ると皆さん嫌悪感をお持ちになるのではないだろうか。保険は安いほうがお客様の為になるのでは?とお思いの方が多いと思います。
論理に矛盾が発生していますね。これはどう整理したらいいのでしょう?
安くて良い保険はあるのか?
安くていい商品は存在するのでしょうか?安い分だけ保障のカバー領域が狭くなるとか、保証期間が短くなるとか、返戻率が下がるとか。
個人の場合は、生活に余裕の少ない方には安い保険を提案し、余裕のある方には保障のカバー領域が広くて保証期間も長く、そして返戻率の良い商品を提案しますね。つまりお客様の懐具合を推察しながら提案する事を、実は皆さん普通にしていると思います。個人保険の分野では整理されているのです。
間違えてはならないのは、資金余裕のある方に安いからと言って保障カバー範囲の狭い商品を提供することです。調達係りとして、お客を守る観点からもよろしくないですね。相手の状況に合わせて保険を提案することで、資金余裕のある方からは多くの資金を調達し、余裕のない方からはそれなりに調達を実行しているはずです。
では、法人保険の場合はどうするのでしょう?次回のコラムで解説したいと思います。